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人には聞きにくい!? 仏壇の正しい処分方法


人には聞きにくい!? 仏壇の正しい処分方法

以前はどこの家にでもあった仏壇。しかし核家族化が進むにつれ、住宅事情を考えた上で仏壇を家に置かないという選択をされる方も増えています。
そのため「老後を考えて便利なマンションに引っ越すので仏壇を処分したい」「両親が亡くなったため、実家にある仏壇を処分したいが、どうすればいいか困っている」といった声をよく聞くようになりました。

仏壇は、仏様だけでなくご先祖様や亡くなったご家族を祀っているもの。単なる不要品ではありませんから、個人が勝手に処分してしまっていいか悩むのもわかります。
とはいえ、周囲の人にはなかなか「仏壇を処分したいから、処分方法教えて」とは言いにくいもの。

ここではそんな想いをお持ちの方のために、仏壇の正しい処分方法をご紹介していきましょう。

1. 仏壇を処分する前にまず確認すべきこと

では早速仏壇の処分方法をご紹介…といきたいところですが、仏壇を処分する前にひとつだけ確認してほしいことがあります。
それは開眼法要を行ったかどうか。それによって処分方法の手順が変わってきます。
といっても「開眼法要って何?」という方も多いでしょう。
まずは開眼法要とは何なのかをご説明していきます。

仏壇は購入した際にはまだただの物でしかありません。その本尊(仏像)や位牌に魂を入れてもらうことを開眼法要といいます。
この法要によって単なる物でしかなかった仏像などが、尊い仏様になるわけです。基本的に仏壇を購入する際に菩提寺の住職に来ていただいて行う儀式。
ただし、仏教徒でない方または浄土真宗の方は行わない場合があります。もし開眼法要を行ったかわからないという方は菩提寺に問い合わせてみてください。菩提寺がないという方は、お近くのお寺に相談してみましょう。

次に開眼法要をされていた場合は、処分をする前に必ず閉眼法要(魂抜き)をしてください。
閉眼法要とは開眼法要の逆で故人の魂をおさめるものとしての役目を終えさせる儀式です。閉眼法要を行わないと故人の魂をおさめたまま処分してしまうことになりますので、事前の確認は必須です。
ちなみに閉眼法要は菩提寺もしくは近くのお寺にお願いしましょう。準備するのはお花・御線香・ろうそくが一般的ですが、おそらく住職に指示されるのでそれに従いましょう。また、1万円~2万円程度の御布施を用意するとよいでしょう。

では次の項目で具体的な処分方法についてご紹介していきます。

1. 具体的な処分方法

閉眼法要が終わったら、次に処分する方法を検討しましょう。
4つの処分方法をご紹介しますので、あなたの状況に合った方法を選んでください。

それぞれの方法にメリット・デメリットがあります。大切な仏壇のことですから、そちらも充分に考慮した上で選択しましょう。

2-1. 菩提寺に引き取っていただく

菩提寺に引き取っていただく

菩提寺がある場合は、この方法が一番スムーズかもしれません。
なぜなら、閉眼法要と引き取りを一緒にお願いできるためです。また菩提寺なら住職のこともよくご存知だと思うので、安心して任せられます。

とはいえ、引き取ってもらうのは基本的に有料です。
具体的な費用はそのお寺によってさまざま。宗派や檀家によって大きく異なるため、事前に問い合わせておいたほうがよいでしょう。またあまりにも大きな仏壇や、宗派が異なる仏壇などは引き取ってもらえない場合もあるようです。閉眼法要をしていただけたなら問題ないかと思いますが、念のため「この仏壇を引き取っていただきたいのですが…」と事前に確認しておきましょう。閉眼法要をしていない場合も、まずは電話で問い合わせてみてください。

≪菩提寺に依頼するメリット≫

閉眼法要と一緒に依頼できるので、処分方法を探す手間がない。
またよく知っている住職にお願いできるので安心。

≪菩提寺に依頼するデメリット≫

金額がお寺によって大きく異なるため、かなりの費用がかかる可能性がある。

2-2. 仏具店に引き取っていただく

仏具店に引き取っていただく

あまり知られていないかもしれませんが、仏具店にお願いすれば引き取ってもらえます。
その仏壇を購入した仏具店でなくても引き取ってもらえることがほとんどです。中には、閉眼法要まで一括で請け負ってくれる仏具店もありますので、菩提寺がない場合はお近くの仏具店に問い合わせてみるのが一番スムーズかもしれません。
仏具店ですので、宗派や仏壇の大きさに関係なく、どんなものでも引き取ってもらえます。

ただし費用は仏具店への搬送距離や仏壇の大きさによって異なります。
また仏具店に依頼した場合、閉眼法要には立ち会えないのが一般的。そのため「本当にちゃんと供養してもらえたのだろうか? 」と不安な方には「供養証明書」「仏壇処分証明書」といったものをお寺のほうから発行してもらえますので、仏具店に依頼する時にお願いしてみてください。

≪仏具店に依頼するメリット≫

自分で運ぶ手間がない。宗派や宗旨、さらには仏壇の大きさにかかわらず、どんなものでも引き取ってもらえる

≪仏具店に依頼するデメリット≫

多くの場合、4つの方法の中で最も費用がかかる。また閉眼法要に立ち会えない。
※ただし自分で仏壇を搬送すれば、搬送費用がかからないため、少し安く抑えられます。

2-3. 粗大ゴミとして出す

粗大ゴミとして出す

閉眼法要を行った仏壇はただの「箱」になりますので、多くの自治体が粗大ゴミとして回収してくれます。
費用が安く、どんなに高くても2000円程度で処分できるのが最大のメリットといえるでしょう。
ただ手間がかかるのが難点。大きさによって回収費用が異なるため、事前にサイズを計測した上、コンビニやスーパーマーケットで有料ゴミ処理券を購入後、自治体のルールに則ってゴミ出しをする必要があります。また自治体によっては仏壇の回収を断っているところもあるので、事前の問合せが必須です。

注意が必要なのは、粗大ゴミとして出すのはあくまで仏壇のみだということ。本尊(仏像)、位牌、仏具一式は別途一般ゴミとして出しましょう。
閉眼法要が終わったものであれば、回収してくれる自治体がほとんどです。燃えるゴミ、燃えないゴミに分別して回収してもらいましょう。

ちなみに、小さめの仏壇であれば、自分で解体した上で、一般ゴミとして廃棄することも可能です。閉眼法要以外にお金をかけたくない方にとってはこの方法がベストといえるでしょう。

≪粗大ゴミとして出すメリット≫

数百円~数千円程度しか、お金がかからない。

≪粗大ゴミとして出すデメリット≫

事前に自治体に確認をしたり、サイズを計測したり、処理券を購入したり、分別したりと手間がかかる。

2-4. 不用品回収業者にお願いする

不用品回収業者にお願いする

最近では仏壇引き取りを請け負う不用品回収業者が増えてきています。そのため、解体できないような仏壇や、自分でゴミ捨て場まで運べないような大きさの仏壇なら、回収業者にお願いするのが一番ラクで便利といえるでしょう。
家まで回収に来てもらえるのはもちろん、自分の都合に合わせて呼べるというのもメリットです。

ただし費用は業者によって異なりますし、中には不当に料金を請求する悪徳業者もいますので、必ず複数業者に見積りを依頼しましょう。

≪不用品回収業者に依頼するメリット≫

自分で運ぶ手間がない、自分の都合に合わせて処分できる。

≪不用品回収業者に依頼するデメリット≫

悪徳業者がいるため、見積りを依頼するなど優良業者を探す手間がかかる。

3.処分費用の相場

続いて、それぞれの費用相場を見ていきましょう。

(1)菩提寺
宗派・檀家により大きく費用相場が異なります。
ざっくりではありますが、閉眼法要でお渡しする御布施と合わせて、数万円~10万円程度は確実にかかると考えてよいでしょう。
(2)仏具店
搬送距離や仏壇の大きさによって異なりますが、2万円~8万円程度が相場です。
自分で仏具店に持ち込むと5000円程度安くなりますので、小さめの仏壇の方はぜひ。
≪大きさによる費用の違い≫
高さ60センチ以下…2万円~3万円
高さ60センチ以上…3万円~4万円
高さ120センチ以上…5万円~6万円
※その他、本尊(仏像)や位牌の引き取りは別途数千円の料金がかかる場合がほとんどです。
(3)粗大ゴミ
大きさや自治体によって回収費用に差はありますが、数百円~2000円程度で回収してもらえます。
詳しくは各自治体に電話で問合せをしてみましょう。
(4)不用品回収業者
業者によってかなり異なりますが、5000円~2万円程度です。
仏壇のみの引き取りであるにもかかわらず、見積りで2万円を大きく超えるような場合は、別の業者にお願いしたほうが賢明でしょう。

4. Q&A

(1)仏具店に引き取りをお願いして、ちゃんと供養してもらえるのでしょうか?

自分の目で閉眼法要を行っていることを確かめられない分、不安に思う気持ちもわかります。
実際にそういったお問合せも多いようで、「供養証明書」「仏壇処分証明書」といった文書をお渡しする仏具店が増えているようです。
閉眼法要を行ったお寺の押印もされており「ちゃんと供養しましたよ」という証明になりますので、不安な方はぜひ仏具店にお願いしてみてください。ただし別途費用がかかる場合がほとんどです。

(2)粗大ゴミで出す場合、本尊(仏像)や仏具も一緒でいいの?

粗大ゴミとして回収してもらえるのは、あくまでも箱である仏壇のみです。
そのため、本尊(仏像)や仏具は別。閉眼法要が終わったら、単なる物になるものですので、一般ゴミとして出して構いません。
「ゴミとして出すのは気が引ける」という方は、お寺や仏具店に引き取ってもらうことをオススメします。

(3)お焚き上げはしなくていいの?

お寺にて閉眼法要を行い、仏壇を燃やしてもらうことをお焚き上げと言います。
最近では野外焼却を禁止している地域も多く、お焚き上げができない場合もあるため、お寺や仏具店が引き取るケースが増えてきているのです。
その場合も、しっかりと供養はしていただけるので安心してください。

5. 処分する際の注意点

処分する際には、仏壇の引き出しの中を必ず確認するようにしましょう。
仏壇の引き出しには大切なものをしまっておくという方も多いので、もし両親や親族の家の仏壇を処分するという場合には特に注意が必要です。
中には引き出しの裏にタンス貯金をしていたなんていうケースもありますので、隅々まで確認することをオススメします。

6. まとめ

仏壇の処分についてお伝えしてきましたが、普通の不用品とは違ってやることも多く、いろいろと注意が必要です。

特に若い世代の間では家庭に仏壇がないというのが当たり前になった昨今、仏壇を処分するということは最早特別なことではありません。

とはいえ、仏様やご先祖様、さらには亡くなったご家族を祀っている仏壇。やむを得ず自分の家には置けない事情が発生してしまった時「本当に処分してしまっていいのか」と悩む方も多いでしょう。処分方法はさまざまありますが、自分が納得のいく方法、後悔しない方法を選ぶことが大切といえそうです。

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