遺品整理のたんぽぽ社

生前整理を考える方に。幸せを掴むための生前整理とは?


生前整理を考える方に。幸せを掴むための生前整理とは?

近年「終活」や「エンディングノート」といった言葉をよく耳にするようになりました。長寿の国である日本だからこそ、老後の時間はたっぷりあります。その分「幸せなエンディングを迎えたい」と考えるシニア世代が増えてきた証拠かもしれません。
そこで注目されているのが「生前整理」という考え方。遺される家族が困ったり、争ったりしないように、元気なうちから荷物や資産の整理をしておくことです。
大掃除のようなイメージを持たれがちですが、単なる部屋の片づけではありません。どんな心構えを持って何から手をつければよいのでしょうか? 今回は、具体的な進め方と共に生前整理との向き合い方もご紹介していきたいと思います。

1. 生前整理とは -正しい生前整理の考え方-

“遺される家族のために”荷物や財産を前もって整理しておこうというのが生前整理。「なるべく子供たちに迷惑をかけないようにしなければ…」と、半ば強迫観念にかられている方も少なくないのではないでしょうか。

ですが、生前整理は決して「死後のための整理」ではありません。自分の老後のために行う、もっと前向きな行動です。たとえば不用品を片づけることで身軽になったり、利便性の高いマンションへの住み替えを決めて老後が楽しみになったり、エンディングノートを作ったことで漠然とした死への恐怖が和らいだり…生前整理をされた方からは「限られた命の時間を意識することで、本当にやりたいことが明確になった」という声が多く聞かれます。まさに生前整理は「第二の人生を前向きに楽しむための準備」なのです。定年や子供の自立といったライフスタイルの変化に応じて、「モノ」だけでなく「心」と「人生」を整理する良い機会ととらえて取り組んでみてはいかがでしょうか。

2. 幸せな生前整理の進め方

ご紹介してきたように、生前整理は単なる片づけではありません。第二の人生を楽しく快適に過ごすためにどんなふうに生前整理を進めていけばいいのか、具体的にご紹介していきます。

2-1.モノを整理する

まずは「モノ」の整理をしていきましょう。「今日は押し入れ」「明日はタンス」といったように場所ごとに整理していくのがオススメ。場所を決めたら「使っているモノ」「使わないモノ」「思い出の品」「判断に迷うモノ」の4つに分類していきます。「使わないモノ」はすぐに処分し、「判断に迷うモノ」は1ヶ月後にもう一度見て、その保留期間中に手にしなかったモノは処分しましょう。

ポイントは「今使っているかどうか」で判断すること。「いつか使うかも」というモノは思い出の品でない限り、処分しましょう。グンと家がすっきりするはずです。

2-2. 財産を整理する

財産を整理する目的は、遺された家族が財産をわかりやすく把握することにあります。「貯金額」「どこにいくら預けているのか」「加入している保険の内容」「所有している不動産」などを一覧表にしてわかるようにしておきましょう。このひと手間が、家族間での遺産相続トラブルを防ぐ第一歩になります。もちろん、ご遺族が通帳や不動産の権利書などを探す面倒も省けます。

不動産に関しては、処分するのもひとつの方法。相続の手間がなくなるという利点もあるため、コンパクトなマンションや施設の整った老人ホームに転居される方も多いようです。

また、宝石や貴金属、ブランド品、腕時計なども財産といえます。事前に形見として誰かに残すのか、処分するのかを決めましょう。もしご自身が現在使用しておらず、今後も使う方がいないようなモノは、現金に換えてしまうという方法もあります。

尚、ローンや借金といったマイナスの財産も相続のひとつ。必ず把握できるようにしておくことが大切です。プラスの財産に関しては、何を誰に相続するのかを決めて一覧表と一緒に書き記しておきましょう。確実に相続トラブルを防ぎたいのであれば、プロに頼んで遺言書を残す方法や生前贈与を行う方法もあります。

2-3. 思い出を整理する

思い出を整理することは、人生を振り返ることにつながります。生前整理において非常に大切な工程です。

まず、「モノを整理する」の段階で「思い出の品」に分類したモノを整理するところから始めましょう。これも「かけがえのない思い出」と「そうでない思い出」に分類していきます。「思い出の品」はダンボール1箱におさまる量を目標に処分していきましょう。

たとえば、子供との思い出はすべて「かけがえのない思い出」ではあるのですが、小さかった頃の服やおもちゃなどは写真に残して実物を処分してしまえば、スペースをとらなくてベストです。

思い出を整理する過程で一番大変なのが写真でしょう。ちゃんとアルバムにしていなかったという方は、年代ごとにスクラップブックを作ることをオススメします。1枚ずつコメントを残していくことで、輝かしい思い出がよみがえるのはもちろん、自分が人生において大切にしてきたことが見えてくるはずです。また自分のベストショットを集めたアルバムを作るのもオススメ。その中からエターナルフォトを選んでおくのもいいかもしれません。

2-4. 5年後、10年後の未来をプランニングする

人生に心から満足して幕を下ろすために、未来をプランニングしていきます。

まずは「大切な人」をリストアップします。身内を含めて「特に大切な人」「大切な人」「付き合いの浅い人」に分けて人間関係を整理してみてください。

自分にとっての大切な人がはっきりしたら、次は「やり残しリスト」を作りましょう。たとえば「孫を含めた3世代で旅行をする」「ずっと会っていない友人に会う」「親と和解をする」「お世話になった人に感謝の気持ちを伝える」…どんなことでも構いません。大切な人を明確にしたことで、やりたいことも見えてくるはずです。

リストを作ったら、優先順位と期限を決めていってみてください。「やることリスト」が出来上がります。ワクワクするような未来の目標がいくつも誕生しているのではないでしょうか。

3. 生前整理ともっとうまく付き合う方法

これまで第二の人生を前向きに歩くための生前整理についてお伝えしてきました。ここでは自分だけでなく、遺されたご家族も幸せにするための生前整理をご紹介させてください。

遺品整理の際、よく聞こえるのは「生きているうちにもっとこうしてあげれば良かった」「本当にこういう葬儀で良かったのだろうか」というご遺族の声だといいます。悲しみにくれるご家族に後悔させないためにも、エンディングノートの作成をオススメします。

「葬儀に関する希望」「訃報を伝えてほしい人はだれか」「大切な人へのメッセージ」「相続に関する考え方」「家・土地・お墓の名義をどうしたいか」などを記しておきましょう。遺言書のように法的効力はありませんが、希望をはっきりと書き残しておくことでご家族に後悔させることはありません。

エンディングノートを活用して葬儀を終えたご家族の多くが、「望んでいた形で送り出せて本当に良かった」とご満足されるそうです。

4. おすすめの本

新しい考え方である「生前整理」に関する書籍の数は、まだ多くありません。そんな中で生前整理の第一人者である大津たまみさんが著された「生前整理で幸せな老いじたく―物と心をスッキリ身軽に!―(PHP研究所)」は、生前整理の考え方や進め方について非常に細かく書かれています。清掃業者を経営する著者が多くの遺品整理に関わる中で感じた「生前整理の重要性」。そして、仕事上で培った人生そのものを幸せにする“片づけ力”のノウハウが詰まった一冊です。

また1000軒以上の家を片づけてきたプロが著者となった「生前整理~人生の衣替え~(宝島社)」もおすすめ。残りの人生が豊かになる、心とモノの整理収納方法をわかりやすく紹介しています。

5. 生前整理を業者にお願いするってどういうこと?

生前整理が少しずつ普及してきたことから、清掃業者や遺品整理業者の中には生前整理の出張サービスを請け負う業者も増えてきました。

基本的にお願いできるのは「分別・梱包・搬出」の部分。そのため「自分ひとりでは整理をしきれない」「体力が追い付かない」といった場合に利用するのが良いのではないでしょうか。中には整理・収納の部分まで請け負うところもありますので、整頓が苦手な方はご検討ください。また「不用品をできるだけ買い取ってほしい」といった場合は、リサイクル業者に見積もりを出してもらうところから始めると良いかもしれません。

ちなみに、「生前整理士」という資格も存在するそう。もし相続などの事務的な内容で悩んでいるのであれば、法的知識も持つ生前整理のスペシャリストである「生前整理士」に直接相談するという手段もあるようです。

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6. まとめ

いかがでしたでしょうか? 家族のためというだけでなく、自分の第二の人生を楽しむために行う生前整理。こちらの記事を通じて、「生前整理をしなければ」ではなく「やってみたい」という感情を持っていただけると幸いです。

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