遺品整理のたんぽぽ社

プロが伝える孤独死の掃除の現場。費用相場や片づけ手順


プロが伝える孤独死の掃除の現場。費用相場や片づけ手順

高齢化が進んでいる今、年々増え続けているのが「孤独死」。独り身の方や別々に暮らす高齢の身内がいる方にとって、決して他人事ではありません。

もし大切な人が「孤独死」という最期を迎えてしまったら…ただただ茫然とするしかない遺族の前には、誰かに看取られて亡くなられた場合以上にやらなくてはならないことが山積みにされます。

そのひとつが、部屋の清掃。ご遺体の発見に何日もかかってしまった部屋は、ご遺族にはもちろん一般の清掃業者にも対応できない状態であることがほとんど。今回は、孤独死の清掃現場に関わるプロの目線から費用相場や片づけ手順を紹介しますので、参考にしていただければ幸いです。

1. 孤独死の清掃方法とは?

孤独死の清掃方法とは

ご遺体の発見が遅れてしまった部屋の清掃方法は、通常とは異なります。消臭・消毒・害虫駆除・汚れてしまった畳の除去などが必要となるケースが少なくないからです。そのため、「特殊清掃業者」という孤独死や自殺の現場を専門とするプロにお任せするのが一般的です。清掃の現場には遺族の立会いが求められることも。いざその現場に立った時、冷静に対応できるように、具体的な清掃方法について紹介します。

必要に応じて害虫駆除を行った後、感染症予防のためのゴーグルやマスク・防護服などを身につけて特殊な薬剤を散布。消毒を開始します。その後、家財道具の搬出や消臭を行い、ご遺族や家主から要望があれば家屋解体やリフォームを行うという流れが一般的なようです。作業日数は現場状況にもよりますが、1日~4週間ほど。業者によっては供養・お祓いも行います。

2.孤独死清掃の費用相場

孤独死清掃の費用相場

持家の場合はもちろんですが、賃貸物件の場合も、原状回復にかかる費用は基本的に遺族の負担になります。では孤独死清掃にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか? 発見現場の状況や発見されるまでの日数などにより料金は変わってきますが、だいたいの相場をご紹介していきます。

「汚物掃除」を行った場合
3万円~10万円
■「害虫駆除」を行った場合
3万円~10万円
■「消臭・消毒」を行った場合
3万円~10万円
汚物箇所の解体
こちらに関しては別行になるケースが多いです。

遺品整理は「1部屋あたり」もしくは「平方メートル単位」で料金が定められているケースが多く、サービス内容によって細かく料金設定がされています。事前に数社に見積もりを依頼して、納得できるまで検討するのが良いでしょう。見積もりをとる際は、追加料金やオプションが発生する可能性があるかどうかも確認しておくと、トラブルが発生しにくいです。

3.清掃依頼から退去までの流れ

3-1. 大家さんや管理会社と清掃に関する相談

賃貸物件の場合は、清掃に入る前に大家さんや管理会社と連絡を取りましょう。床の張り替えをはじめとしたリフォームがどの程度必要なのか、どこまでが遺族の負担になるのかを事前に相談してください。中には不当な大規模リフォームを要求してくるケースもありますので、本当に孤独死による汚れ・故人の生活による損傷なのかを見極めて交渉することが大切です。出来れば入居時の資料を見つけて、不当な請求がないかどうかチェックすることをオススメします。

3-2. 清掃業者への依頼

まずは作業のどこまでを専門業者へ依頼するのか、決めましょう。たとえば遺品に関してなら、自分達で遺品整理をするのか、家財引き取りなど遺品回収もすべて業者にお願いするのかを決めておくとスムーズです。ただし遺品回収をお願いした場合、形見になるような大切なモノなどの選別はしてくれないケースもあるので、注意が必要です。

その後は、清掃業者に見積もりを出してもらいましょう。中には不当に高額料金を請求してくる悪徳業者もいますので、複数の業者に見積もりをお願いすることをオススメします。

3-3. 清掃現場の確認・退去

清掃現場の確認・退去

清掃終了後、大家さんや管理会社と共にご遺族の方が部屋の状況を確認されるのが一般的です。特に異臭やシミなどが残っていないかをしっかりチェックしてください。遺品回収のサービスも依頼している場合は、まずはご遺族と清掃業者が遺品整理を行った後、大家さんや管理会社に連絡して部屋の確認を行ってください。問題なければ退去となります。

尚、清掃の前もしくは退去後に葬儀を執り行うと思いますが、葬儀までの流れについては下記「身内の孤独死を知らされたときの対応と葬儀までの流れ」で詳細にご紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。

身内の孤独死を知らされたときの対応と葬儀までの流れはこちら

4.掃除の費用負担の現状

掃除の費用負担の現状

基本的にはすべてご遺族の負担となる清掃費用。残念なことにご遺族の心の傷につけこみ、不当な原状回復費用を請求する大家さんや管理会社がいるのも事実です。たとえば、部分改修で済むような損傷や汚れのある床について全面リフォームを要求するなど、思わぬ請求が待っていたというケースは少なくありません。

そのため「大家さんや管理会社と清掃に関する相談」の項目でお伝えした通り、事前に料金について話し合いをしておくことが大切です。また最近では、不当に高額な原状回復費用を請求されないように「退去立会いサービス」を行う行政書士事務所もあります。もし清掃前の相談段階で不当請求の恐れがあると感じたら、こうしたサービスを利用するのもひとつの手ではないでしょうか。

5.孤独死の掃除の現状

孤独死の掃除の現状

実は清掃を依頼される半数以上は、ご遺族ではなく大家さんや管理会社、市区町村の方々。身寄りのない方ばかりでなく、ご遺族がご遺体の引き取りを拒否したり、ご遺族と急に連絡がとれなくなったりするケースが多く発生しているのです。

また多くの現場を経験してきた特殊清掃士が口をそろえるのは、消臭の大変さ。夏ならば1日、冬ならば1~3週間で遺体の腐乱が始まるため、部屋中に異臭が満ちていきます。中には強力な脱臭機材を使っても異臭を抜くのに何週間もかかる現場もあるとか。それでも畳などに臭いがしみ込んでしまっていることもあり、その場合はすべての畳を交換することになるのです。特殊清掃は臭いとの闘いといっても過言ではないでしょう。

さらに孤独死の現場には大量のゴミが散乱しているケースがほとんどだといいます。高齢者にとってゴミ出しはかなりの労力がかかるもの。さらに食が細くなっていることから、食材を溜めこんでしまう方も多いのだとか。自然と部屋にゴミが溜まっていってしまうのでしょう。キッチンやトイレなどの水回りもかなり汚れているケースが多く、原状回復にかかる料金が高額になってしまうのです。

6. まとめ

ここまで「孤独死」の清掃現場についてお伝えしてきましたが、ご遺族にとっては「孤独死」の連絡を受けてから悲しむ余裕すらないほど慌ただしい日々になってしまうかもしれません。万が一、身内の方や大切な人が「孤独死」という最期を迎えた時、この記事が少しでも心に余裕を持つ手助けになれば幸いです。

とはいえ、「孤独死」が増えている今だからこそ、誰もが当たり前に「看取られて最期を迎える」ことが出来るように事前に対策を立てておくことが非常に大切といえるでしょう。ご自身はもちろん、周りの人の働きかけにより「孤独死」は防げるのです。遠方に住んでいても手助けは可能です。もし「孤独死」と聞いて思い浮かぶ大切な人がいらっしゃるなら、ぜひ『「孤独死のない社会」をつくるために有効な対策とは?』の記事も併せてご覧ください。

公開まで今しばらくお待ちください。

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